向かう先は真っ直ぐひとつだった。
歩みを進めるにつれて視界を占める割合が増えていき、都の中央にその存在をありありと主張する。
輝く巨大な緑の宮殿。
───オズの居る場所。
実際にその前に立つとその迫力に圧倒された。
皆言葉なくただ見上げるしかできない。
宮殿の門の前の守衛にオズとの面会を申し込むと、その門がゆっくりと開いてうらら達は中に招き入れた。
宮殿の中は外見に劣らず広く派手な内装だった。
長い廊下には装飾品が途切れることなく並び宝石が散りばめられ、オズの栄華を物語っている。
だけどやはりここも、人の気配の殆どしない。
それがやけに印象的だった。
やがて広間らしき場所に通され、そこにはやはり緑色を纏った綺麗な女の人が居た。
女の人はうらら達の姿を確認し、ゆっくりと頭を下げる。
「いらっしゃいませ、お客様方。オズ様はお話しを聞いてくださるそうですが
1日ひとり分しかお時間がとれません。承知頂けるようでしたら、お部屋をご用意致します」
丁寧な物腰で事務的にそう説明されるも、うらら達は思わず顔を見合わせる。
――1日、ひとり。
人数分だけ、ここに留まらなければいけないということ。
それは流石に予想外だった。
みんな何か言いたげな、複雑な表情を浮かべながらそれを口にするのを躊躇していた時。
「しょうがないよ、それなら。おれ達の旅の終着点はここなんだもん。ここに居る分なら、問題ないんじゃない?」
その場にそぐわない明るい声で言ったリオが、にこりと笑う。
心の内はそれぞれでも、やはり結論はそれ以外ない。
オズに願いを叶えてもらい、現実に帰るためには。
一握りの躊躇を払い捨て、うららが返事をじっと待つ女の人の目を見て答えた。
「構いません、オズと会わせて下さい。」