──守れるなら。
オレのこの手で、傷つけるしか、奪うしかなかったこんな手でも、守ることができるなら。

ずっと守ってやりたいと、本気でそう思っていた。



ゆいが起きていられる時間が数週間に数時間、数ヶ月に数時間と減っていき、1年の殆どを眠って過ごすしかなくなった時。

オレは、家を出た。


耐え切れなかった。
眠り続けるゆいを、これ以上傍で見ていられなかった。

次にゆいが起きるのは途方もなく先で、目を覚ましたゆいにかける言葉なんて、見つからなくて。


もう傍にいることすら、できなかった。