半分外国の血をひく生まれつきの金髪は周り馴染めず孤立し、反発心ばかり強いガキだった。

ひやかしにはすぐキレて暴れて大人の好奇の目には敏感で。
自分の感情を、抑えられなくて。

生まれてすぐに死んだ母親に代わって男手ひとつで育ててくれた父親の手をよく煩わせていた。

そういう自覚はあったからか、再婚の話が出たとき反対も抵抗も全く無かった。

それでもカンタンに変化に順応できるほど、受け入れられるほど素直なガキでもなくて。
突然できた母親も、新しい“家族”もやはり、はじめの頃は馴染めなかった。
余計に気持ちばかり、こじれていった。


───だけど妹ができて。

ゆいが生まれて、オレの世界は変わった。


『これから毎日、ずっと…ゆいを起こしてあげなくちゃいけない。誰かに呼んでもらわないと、ゆいは起きれないの。…お兄ちゃんに任せていい…?』


初めてそれを知った日、義理の母親が初めてオレを“お兄ちゃん”と呼んだ日を今でもよく覚えている。

オレは考える間も迷う間もなく頷いていた。

たぶんそれは、オレに与えられた役目だと…使命みたいなものだと思ったんだ。