「…アンタの目、気に入らない…アイツに似てるわ。って言っても、姿は見たことないんだけど。だけどどことなく、似てる」

「……アイツ?」


心底つまらなそうに東の魔女は呟き、それからまたうらら達を見下ろす。


「そう、アタシ達に命と力を与えた、オウジ様。あなた達が夢みる王子と呼んでいる。アイツにジャマされなきゃ、もっとはやく辿り着けたのに。だけどアイツも少しずつ、力を失っている。この世界の均衡は、流石にひとりじゃ保てない。ソレを保ちながら、アタシ達を抑えるのは無理だったみたい。だから逆に、しばらく大人しくしといてもらおうと、こっちからアイサツしてあげたの。ひとりじゃムリだったけど、ふたりならダメージぐらいは残せた。
出し抜いてやったのよざまあみろだわ…!」


高らかに、愉しそうに。
東の魔女は甲高い笑い声を響かせた。

その光景にうららは背筋が凍るのを感じる。
得体のしれない恐怖が背中を滑る。


「だからね、アイツはもう助けてはくれない。うらら、そろそろあなたも、自分の身は自分で守らなきゃ」