「いるんだ。意外」
重森はそう言って、またペンを回し始めた。
意外ってどういう意味?
男ウケ狙ってそうな身なりをしているけど彼氏なんてできなさそうってこと?
醜く口角を上げている二人が心底憎い。
この二人、私のことをコケにして笑いたいだけなのかも。
話にならない。
そう判断した私は、究極の妥協案に出る。
「とにかく、合宿の課題を終わらせてくれる? そうしたら遊んだって宿題やったっていいから」
やらなきゃいけないことは、やってもらう。
こいつらのためにではなく、私のために。
成績なんて知るか。
この課題を提出させることが私の仕事だ。
それだけは全うする。
松野はわざとらしく大きなため息をついた。
だけど自分の思い通りにはいかないことを悟ってペンを握った。
しかし重森はまだ、
「やだ。やりたくねーよー」
と駄々をこねる。
聞き分けのないクソガキだ。
「じゃああたしはどうすればいいわけ?」
「先生なら俺をやる気にさせてみれば」
「どうすればやる気になるの?」
「さあ? 逆に俺が知りたいね」
ナメてる。
完全に私のことをナメてやがる。
悔しいやら腹立つやらで歯を食いしばっていると、松野が重森にサクッと言った。
「あんたうるさい」
この一言に、重森の表情が固まった。



