「うわー。本当に台風来てるんだ」
重森が首を伸ばし、外を眺めて言った。
松野も彼につられ、窓へと目を向ける。
カランカランカラン……
風で何かが飛ばされている音もする。
本格的に台風が来るのは明日なのに、すでに強い風が吹いている。
明日は一体どうなるんだろう。
「危ないから、外には出ないようにね」
私がそう告げると、重森が「はーい」とつまらなそうに返し、松野は興味がなさそうにペンを握り、課題に向かった。
「はい、今日はこれで終了」
夕方6時。
本日の勉強タイムも終了した。
「よっしゃー。やっと半分越えたぜー!」
伸びをしながら喜ぶ重森。
Tシャツの裾が上がって腹がチラ見え。
……さすがに十五歳の腹を見てもセクシーさは感じないけれど。
7日間中4日目が終わったので、折り返したことになる。
「いつも通り、7時までに食堂ね」
「はーい」
重森は元気よく部屋を飛び出していった。
一方で松野は、席も立たずに学校の宿題を続けている。
「お風呂、行かないの?」
私が訪ねると、松野は手元のプリントから目を放さずに答える。
「もう少しやって、後から行きます」
なるほど、少し時間をずらして、一人で入る作戦か。
あの女子ら二人は、松野が何か二人を不快にさせるようなことを言ったと言っていた。
どうやらそもそもは飯島が絡んでいるようだが。
松野、一人で行動するのは辛いだろうなぁ。
早く仲直りができればいいけど。



