「みんなー! お疲れさん」

いつものヘラヘラ笑顔で生徒たちを迎える俊輔。

その隣で小谷先生も笑顔を振り撒いている。

肝試し(重森の恋バナ)と怪談に集中していたからすっかり忘れていたけど、約2時間の間、彼らはここで二人きりだった。

何が私にとって悪いことが起こっていなければいいけど……。

生徒を寝る部屋へ入るよう指示し、すぐに点呼を取った。

本日の業務も、そろそろ終わりの時間だ。

「今日も一日お疲れ様でした」

「お疲れ様でした」

「肝試し、盛り上がりましたね」

今日のミーティングはいつもより和やかな雰囲気で行われた。

明日は朝から雨が降るらしい。

7時の時点で降りだしたら、朝礼は中止せざるをえない。

みんなが楽しみにしているバーベキューやキャンプファイヤーの日には、雨が止むといいのだけど。

「それでは、みなさんも風呂に入って頂いて、就寝ということで。解散~」

「お疲れさまでした」

合宿3日目が終わった。

生徒の甘酸っぱい話。

田中先生の怖い話。

これらが今でも私の胸をじわじわと刺激している。

「お風呂行こうか」

小谷先生が笑顔で私を誘う。

私が俊輔の彼女だって知ったら、態度を変わって気まずい雰囲気になってしまうのかな……。