重森の字はやっぱり下手くそで、少し難しい漢字はひらがなだ。
国語が苦手だというのは嘘だと言っていたが、本当に嘘なのか疑いたくなる。
だけど、私のためにこの手紙を、あの重森が書いたかと思ったら、耐え切れずに涙が出てきた。
「何て書いてあった?」
俊輔が手紙を覗こうとするので、私は手紙をさっと隠した。
「見せるわけないじゃん」
「なんだよー。泣くほど感動的なことが書いてあったんだろ? 読ませてよー」
私から手紙を奪おうとする俊輔に、運転している田中先生が言う。
「ダメですよ。封筒に親展って書いてあるでしょう?」
俊輔は手紙を諦め、膝に置いた封筒の方を手に取った。
「げ、マジだ書いてある」
車内が笑いに包まれる。
「“使い方は合ってる”って、重森に伝えてくれる?」
私が言うと、俊輔はますます悔しそうな顔をした。
「何の使い方? 気になる! やっぱ見せろ」
「ダメ。あ、受験頑張りたいから、自分がサボらないように市川先生に見張っててもらいたいって。よろしくね」
「……そりゃあ、もちろん」



