バスが門まで徐行し、右のウインカーを出す。
“ファン”
軽くクラクションを鳴らすと、掠れたエンジン音を唸らせ大きく右に曲がり、門を出ていった。
山道は曲がりくねっており、みんなを乗せたバスは数秒で姿が見えなくなる。
走行音が聞こえなくなると、風で木々が揺れる音や虫の鳴き声がクリアに聞こえるようになる。
今までに味わったことのない寂しさに襲われる。
「俺たちも行くよ」
俊輔に声をかけられて、私はやっと門から目を離した。
「うん」
田中先生が宿舎に向けて歩きだし、私たち学生講師もそれに続く。
「終わったね」
小谷先生が清々したように両腕を伸ばす。
「終わりましたね」
「あーやっと帰れるー!」
田中先生と俊輔も、ホッとしたような顔で似たような話をしている。
またすぐにあの生徒たちと会える彼らには、私の感じている寂しさはないのだろう。
私は自分が仲間外れであることを思い出し、そこはかとなく孤独を感じた。
使わせてもらった教室の最後の片付けをして、慌ただしく備品の荷造りをした。
いったんそれらを田中先生の車に載せてから、一週間寝泊りした部屋へ自分達の荷物を取りに戻る。
施設のスタッフのみなさんに感謝の挨拶をして、私たち講師陣も宿舎を出た。



