そして十数分後。
「先生、終わりました……!」
重森は珍しく敬語を使い、誇らしげに課題の完了を告げた。
達成感の滲み出る笑顔に、私と松野も自然と笑顔になる。
「お疲れ様でした」
彼の課題を受け取り、チェックすべく簡易冊子を開く。
雑だけど力強い彼の字から、初日にはなかったエネルギーを感じる。
「終わった……」
重森はそう言って机に突っ伏した。
松野はすかさず彼に告げた。
「まだレポートが残ってるけどね」
「げっ、そうだった」
レポートとは、この合宿を終えての作文だ。
原稿用紙に自分が行ったことや思ったことを認めるのだが、作文の苦手な彼らにとっては一仕事であろう。
「あんたたちは書くネタたくさんあるでしょ?」
台風の中の脱走、ケンカ、そしてバーベキューの雑用。
私が告げると、ふたりは複雑な表情で顔を見合わせた。
「そうだけど……」
「ねぇ?」



