午後6時。
「今日はこれで終了です。二人とも、お疲れさま」
私の合図で、国語部屋も学習時間を終えた。
重森はぐったりと机に突っ伏し、松野は涼しい顔をしてテキパキ教材を片付ける。
「これからすぐにお風呂に入って、7時までに食堂に集合ね」
「はーい」
力ない二人の返事。
朝早くみなみ塾に集合し、昼休みと定期的なトイレ休憩、そしておやつの時間以外はずっと勉強していたのだ。
さぞかしお疲れだろう。
「あ、佐々木先生」
「なに?」
「この部屋、夕食の後も使えますか? 学校の宿題の続き、やりたいんですけど」
松野が宿題だと思われるプリントの束をヒラヒラさせる。
「うん、使えるよ」
「そうですか」
教材をこの部屋に置き、小さなトートバッグだけを持って部屋を出る松野。
彼女は目的が明確で、集中力もあるところが長所だ。
効率的に行動できる賢いタイプかもしれない。
かたや重森は、まだ机に突っ伏したままで動かない。
「ほら、あんたも風呂入りに行きなよ」
私が頭をちょんと小突くと、彼は嫌そうな顔をゆっくり上げた。
「……うん」
「どうした?」
返事もせず、また机に突っ伏す。
え? 何なの?
風呂が嫌なの?
昼休みもサッカーで遊んでいたし、疲れすぎてダルいとか?
いやいや、汗かいたんだし、余計に風呂に入っとかないとまずいでしょ。
私は様子を見つつ、さっきまで松野が座っていた椅子へ腰掛ける。



