空は快晴。

まだ午前7時なのに日差しはすでに肌を焼くほどに強く、セミは自らの存在をフルボリュームで主張している。

空気を破くような彼らの鳴き声に混じる、ピアノの旋律。

ラジオ体操の軽快なリズムが広場に響く。

広場にはまだかすかにバーベキューのにおいが残っている。

体が、重い。

さすがにこれまでの6日間の疲れが溜まっていた。

ほとんどプライベートのない非日常的な生活では、気を抜いている暇がないのだ。

娯楽がなく、食も制限され、目の前にいる恋人と二人きりにもなれない、仕事だけの日々。

今日が最後だと体に言い聞かせ、軽快なリズムについていく。

戦いは今日の夕方で終わる。

最後までしっかり務めを果たそう。

私は自分に気合いを入れ直し、曲に合わせて丁寧に深呼吸をした。



朝食を済ませ、宿泊している部屋で業務と帰宅の準備をする。

やや二日酔いの小谷先生とは、あまり会話が弾まない。

疲れや酔いもあるが、俊輔のことに対する気まずさがどうしても拭えないのだ。

彼女が振られた不幸感を醸し出さないおかげで最悪な雰囲気は免れている。

それが救いだ。

私は今日でこの「みなみ塾」を去るし、当分の間は俊輔の恋人という地位を手放すつもりはない。

私たちは互いを嫌い合っているわけではないけれど、気を許し合うことはないだろう。

今日いっぱいうまくやればいい。