マシュマロを食べ終わると、次のレクリエーションへと進行する。
「線香花火大会ー!」
俊輔の掛け声に、生徒がまた歓声をあげた。
その声を聞いて、松野と飯島もみんなの輪に戻ってきた。
線香花火大会とは、一番上の方まで燃やすことができた生徒が優勝となり、賞品がもらえる。
さすがにキャンプファイヤーで点火するのは危険なため、我々講師がろうそくを持って回る。
線香花火の小さな火種が落ちないよう、会場はいったん静かになった。
ひとつ火の玉が落ちるごとに少しずつ声があがり、落とした者同士が会話を始め、会場は次第に賑やかさを取り戻してゆく。
優勝したのは中学1年生の女の子だった。
キャンプファイヤー終了後は、松野と重森、飯島を再び呼びつけて最後の片付けだ。
バーベキュー道具の移動や机の移動など、3人はうんざりした顔をしつつ文句は言わずに手伝ってくれた。
反省はちゃんと伝わっている。
「お疲れさま。先生たちも、みんなで風呂に行ってきなさい」
南先生のお許しの言葉に、3人は安堵のため息を漏らした。
準備と後片付けで汗をかいたし、バーベキューやキャンプファイヤーでは油と煙を浴びた。
私もそろそろサッパリしたいと思っていたところだ。
昨日も今日も、よく働いたと思う。
ひとり暮らしをしている私の部屋の浴槽は、そんなに大きくない。
足を伸ばして湯船に浸かれるのも今夜が最後だ。
心ゆくまでゆっくり浸かろうと決意して、浴室へと向かった。



