学び人夏週間


「それをね、友達に相談したんです」

「あのふたり?」

今朝、血相を変えて松野がいないと言ってきたふたりの顔が頭に浮かぶ。

「はい。そしたら……ふたりとも、『そういう年頃なんだから、させてあげなよ。拒否ってたらすぐフラれちゃうよ』なんて、簡単に言うんです」

「簡単にって……」

「ショックでした。あの子たちは私の不安や彼への不信感より、彼が私を性欲処理に利用することを尊重した」

それはさぞかしショックだったことだろう。

女のカン、もしくは想像でしかないが、彼氏をゲットした松野に対する羨望や嫉妬からきた言動なのではないだろうか。

くわえて彼女らほどの年頃の子たちは、そういう行為を「付き合っている同士なら当然」というスタンスで話すことで、自らの性熟度をアピールする傾向がある。

しかし、それが松野を傷つけた。

「私はまだ経験がないし、怖いんですよ。彼が私の気持ちや体のことを真剣に考えてるようには思えなかった。たぶんね、あの二人も、私と彼が上手くいくようにって。付き合っていれば、いずれはそういうこともするんだしって。そういう意味で言ってくれてたんだって……頭ではわかっていたんです。わかっていたんです……けど」

松野はまくしたてるように語るが、ここでいったん口をつぐんだ。

泣きそうになっているのを堪えている。

「けど?」

私が促すと、松野は呼吸を整えて続けた。

「ムカついて『私、あんたたちみたいにビッチな考え方はできない』って、言っちゃいました」

「あー……」

売り言葉に買い言葉になってしまった、と。

「そしたら当然、二人は怒ってしまって。私の言ったことが酷いのはわかってるんですけど。でも、私だって嫌な思いをしたから、謝る気にはなれなくて」

だから関係がこじれて、このような事態に陥ってしまったと。