俺の、左手が、温かい。 何かに包まれている? 少し動かしてみる。 「啓人さんっ!」 心配そうな顔の彼女が俺の顔を覗き込んだ。 「私よ!わかる? ここは、病院よ」 コクンと頷くと、彼女の顔は、緩んだ。 「待ってて、先生呼んでくるから」 昨日見た、着物姿のままだ。 ずっと、傍にいてくれたんだな。