鏡の前で髪をとかす。


ゆるくウェーブした髪の毛を撫で付け、鏡の中の自分を見つめる。



笑ってもないし
泣いてもないし
怒ってもないし



なんもない顔。



だいきらいだよ、あたしなんか。



コップに水を溜め、鏡にかける。

ぐにゃりと歪んだ鏡の世界を横目に部屋の外へでる。



時刻は十一時半。

昼が近いせいか、お見舞いの人が多い。



言葉が飛びかい、
沢山の人が笑ってる。
中には神妙な顔をしてる人もいるけれど、



人、人、人、



視界がぐるりと回り、近くの壁に手をつく。


……きもちわるい