「もう歩いていいのかよ?」


毎日のようにあたしの病室に来るようになってしまった彼には「出歩いちゃダメって言われてる」と嘘をついていた。


ここにだってばれないように来てたのに、



仕方なくあたしはこくり、と頷いた。


「まじ!?よかったな!」
目元を緩ませる彼に無性に泣きたくなった。


唇を噛み締めて、あのスケッチブックを開いて、言葉を紡ぐ。


《ありがとう》


「あとで、花、花壇に植えにいこうな」


にかっ、と笑われたと同時に看護婦さんに「川嶋くん!メモりあってないで早く!」と彼は呼び出されてしまった。