俯いた瞬間、車椅子を押していた看護婦さんがあ、と声を洩らす。 顔を上げると、 「……………あ、」 彼女と目が合った。 まだ、うっすらとしか開いていないけど 確かに俺が彼女の瞳に映っていた 「川嶋くん、病室に一回戻ろうか?美音ちゃんも意識戻ったみたいだし、ここもバタバタして邪魔になっちゃうし…」 「はい、」 思わず、曇りだした目元をごしごしと袖で擦る。 「笠置…美音…かぁ」 小さくそう呟いた。