──…一年後



「いっ…ちょ、待てよ!瀬那!」

「待たないから、そもそも何でお前なんかと行かなきゃいけないんだよ」

「親友だろ?」

「これから美音に会いに行かなかったなら、お前のこと殴りたい」



あの日から一年が経った。

生活は目まぐるしく変化した。



「ついに、今日かあ…!やっとだな」

「本当はもっと早くにやれる予定だったんだよ」

「え?なんで遅れたんだよ?」

「美音がお客様は勿論だけどあたしも納得する音が出てからが良いの、って言ったから」


今日は美音の…いわば復活リサイタル。



「え、俺聞いてない…」

「音楽のこと、お前なんかに話すわけないだろ」



美音の声が世の中に響き渡る日だ。



「こんなのが全国制覇したチームのエースとか信じたくない…」

「おい」

「審判に賄賂でも送ったんじゃないの」



留学先から駆け付けた瀬那と見に行く…筈なんだけど一年経ってもやっぱり瀬那は変わらなかった。


「美音返せ」

「瀬那のじゃないから!」



美音、頑張れ。