ヨロヨロとよろめきながら、車に乗るとお母さんがにっこり笑った。



「瀬那くんから連絡があったの」

「今日、迎えに行ってやってくださいってね。でも、病院に着いたら今出てったって言うじゃないか」



焦ったよ、と笑うお父さんの姿がぼやける。



ありがとう、と目で伝えると首を横に振られた。


「ありがとうなんていらないわ。空白の分の子供孝行してるだけよ」