「じゃ、美音。ちょっと先生に渡したいものあるから、それ渡したら行くね」 《もう…帰っちゃうの?》 「俺……。美音に届けたい音まだまだあるんだよね」 そう言って、微笑みながらくしゃりとあたしの頭を撫でて「また会いに来る」と言って病室を出ていってしまった。 病室に残されたあたしは、サイドデスクの写真を見つめた。 …─お姉ちゃん 甦る記憶は、あたしのようやく静まり返った思考を絡み取って黒く染めていく。