それから留学先のことやあのピアニストがリサイタル開くみたいだよ、とか色々な話をした。
「……美音」
首を少し傾げて、なに?と返事をする。
「聞かないんだね、あいつのこと」
瀬那、今それは聞いちゃイケナイことだよ?
あたしは聞かなかったフリをして、病室に備え付けてある冷蔵庫から今朝、看護師さんにもらったゼリーを出す用意を始めた。
「美音」
《何味がいい?》
久々にメモに文字を書いて、会話をする。
「……美音」
《瀬那、グレープ好きだったよね?》
「美音」
《あたしはオレンジかな》
「美音っ!」
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