《理由になっていないよ》 「立派な理由だろ!」 《あたしは、湯タンポじゃないよ》 そう言ってするり、と腕の中から抜け出す美音は蝶のようで。 ひらりひらり、と俺を魅了しては逃げていく。しかも無自覚と来たら質が悪い。 「美音」 そのまま、俺の腕の中に二度と戻ってこなかったらどうなってしまうんだろうか 上手く息が吸えるかな 「美音……」 行かないで 《心臓が持たないのよ。何でかな》 少し照れた顔でそんなこと言われれば、それは極上の殺し文句。