「…、何だよ、お前」 顔のところどころに擦り傷がある血がにじんでいるのもあり、あたしは顔をしかめた。 質問の答えを返さないあたしに苛ついているのか眉間に皺がよっている。 別に、嫌がらせで答えないんじゃないのに。 ………“答えられないの” 諦めたのか、第二の質問を繰り出す。 「お前、名前は?」 「………」 視線を少年の背後に移す。 「おい、無視すんなよ」 「………」 この人も 「聞いてんのかよ!?」 翼をもがれて空に“捨てられた”