先生の秘密


「ねぇ、今は?」

「ん?」

「今は私のこと……ううん。やっぱいい。聞かない」

「聞かへんのかい。まあええけど」

淳一は笑って私を自分の腕から解放した。

私も笑って涙を拭う。

今の気持ちは聞かない方がいい。

きっと何を聞かされたって動揺するし、この学校で再会したことを喜び呪う気持ちは変わらないのだから。

ポケットに入れていた私のスマートフォンが震えた。

メッセージだ。

簡単に返信し、淳一の方を向き直す。

「ねぇ、じゅん」

「ん?」

「私たち、もし次に会うことがあったら、今度こそ運命かもしれないね」

この言葉に、覚えがあるはずだ。

私たちは再会を果たしたけれど、運命の証明にはならなかった。

でも、もし次があるなら、きっと。