涙が落ち着いたところで、教室へと戻る。

階段の昇り口にある大きな鏡を見ると、私は明らかに泣いた後の顔をしていた。

誰にも会いませんようにと祈り、階段を駆け上がる。

教室に入り、スカートのポケットからスマートフォンを取り出した。

トークアプリを開き、下へ下へとスクロール。

淳一とのトーク画面、そしてアルバムを開くと、思い出はすぐに、そして鮮明に蘇る。

私はそれらを眺めながら、再び涙を流した。

窓の外を見ると、校庭に植えられている桜並木がよく見える。

どの木も美しく花を咲かせているが、ひらひらと少しずつ花びらが散っている。

まるで私の散った恋情の象徴のようで、理不尽に腹立たしくなってくる。

「もう散ってしまった恋なんだから、諦めなさい」

そう言われている気すらするのだ。

わたしは桜を睨み乱暴に目元を拭って、スクールバッグを持って教室を出た。