私は道場へは戻らず、教室へ向かった。

ボロ泣きしたのが隠せないレベルにまぶたがむくんでしまったから、みんなには会いたくなかった。

こんな顔、絶対に「どうしたの?」と聞かれてしまう。

うまく返せる自信は皆無だった。

誰もいない教室で制服に着替え、スクバに持ち帰る荷物を積めて帰宅の準備をする。

開いている窓から外を眺めると、西の方角にきれいな夕焼けが見えた。

明日は晴れそうだ。

どこからか前夜祭で盛り上がっているチームの声が聞こえた。

日が落ちると涼しい。

風が少し冷たく感じる。

私は窓を閉め、茜に体調不良のため先に帰る旨のメッセージを送信。

荷物を持って、教室を出た――。



翌日、体育祭。

私たちが手掛けた団旗は、斬新なアイデアだと評価を受け、見事優勝を勝ち取ることができた。

マスコットは6個に割れるだけの仕掛けがウケず、3位。

各競技の成績も入れて、我々赤組は総合2位に終わった。



学園生活最後のイベント、体育祭が幕を閉じた。

私たちはこれから、受験一色になる。