私は、自分ではわりと現実主義者だと思っていた。

物事を冷静に判断することができるし、ベストな選択ができるタイプであると。

とんだ勘違いだ。

私は、あろうことかこの再会を神様のくれたプレゼントだと思った。

障害はあっても、恋人同士に戻れるのではないかと大いに期待した。

そして少女マンガや恋愛ドラマのような、教師と生徒の秘密の恋愛を想像しては胸をときめかせた。

忘れられなかった思いはこの数時間で胸いっぱいに膨らんでいたし、淳一も私を見たらそうなるのではないかと思っていた。

だけど結局、全部私のひとりよがりな妄想だったのだ。

冷静に考えてみれば、元カノが女子高生で、しかも自分の学校の生徒だなんて、脅威以外の何物でもない。

私たちはすでに別れているし、やましいことは何もない。

だが私たちのことを知った世間がそう判断するかは別の話である。

昨今、教師という立場は非常に脆く、少しのことで攻撃を受けやすい。

クリーンであることに越したことはない。

私は危うく、夢を叶えた淳一の輝かしいキャリアに、取り返しのつかない傷を付けてしまうところだった。