「あれ…?陸泣いて…るの…?」



杏樹が陸の顔に手を伸ばす。



目元に触れると、


「…やっ…ぱり……泣…いてる……」


と苦笑いした。






「……大丈……夫だ…から……痛みとか…ないんだ……よ…?」



陸の目元にある雫を拭い取る。







「…あ―……やっ…ぱり……眠…たい……よお……」




杏樹の目が、少しずつ…



閉じていく……………





「杏樹っ……!」



名前を呼んだ瞬間





陸の目元にあった杏樹の手が、




力無く、落ちた―――――――。







「…杏樹っ…!杏樹っ!


……………杏っ!!」





体育館中に、陸の杏樹の名前を呼ぶ声が響いた。