すーっと、靄(もや)がかかっていた空気が澄んでいく。




知らず知らずの内に、妖怪達に汚されていた。





「……本当に、杏樹君で大丈夫なのか?」




理事長が口を開いた。




陸を見ていた祖父は振り返る。




「…まぁ…まだまだ未熟者じゃが………力においては、父親を軽く超えておる。」



「…柚莉を連れて帰って来てくれるんだろうな?」


「心配せんで良い。あれには、全てを幼い頃から叩き込んである。


簡単には、負けん」




誇らしげに言うので、理事長も納得した表情になる。




「わしらは、信じて待つのみじゃ…」




杏樹が消えた辺りを祖父は眺める。