地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪

奴は選ばせてやるって言ったけど


あたしには

選ぶなんてものは、ない。





あの笑顔を取り戻す


呪詛なんて気にしなくて良いように


相澤君と、楽しい生活が送れるように


あの子が、不自由なく暮らせるように




あたしは力を尽くすだけだ。




理事長を真っ直ぐに見て、答えた。





「……はい。


この命に代えても……

必ず取り返します。」





と、強く言い切った。






「どうやって助けるつもりじゃ?

何も持っておらんくせに。」




体育館の入口から、声がした。





振り向き、相手を見る。







「…っ!…じ、じいちゃん!?」






立っていたのは



神崎一族の主


あたしのじいちゃんだった。