「だが、守れなかったのが事実だろう!」
「…しかしっ…!」
陸が理事長に向かって続きを言おうとする。
「陸っ…!
あたしが悪いのっ!
守れなかったあたしが!」
制服を引っ張り、止めた。
「…この方は、
柚莉のお祖父様なの。
あたしを責めて当然なんだよ…」
陸を見上げて、言った。
目を見開く陸
初めて知ったよね?
学園内でも、数人しか知らないことだから………
柚莉は、大企業の一人娘でもある。
誘拐とかにも遇いやすい存在だから、秘密だったんだ。
立ち上がり、理事長と向き合う。
「……柚莉を助けてくれるんだろうな?」
静かな…けれど、強い声で聞かれた。
目をつむり、心を落ち着かせた。
ゆっくりと目を開ける。

