地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪




「杏樹。」


静かにじいちゃんがあたしを呼ぶ。



振り返ると、じいちゃんは一息つき話し始める。




「…柚莉ちゃんは、呪詛をかけらておる。」


「………。」



無言で柚莉を見る。



感じてはいた。
この部屋に入った時から。


呪詛……



恨みに思う相手に災いが起きるよう神仏に祈願すること。

まじない。のろい。






「これは…相当に苦しいんじゃ。恐らく、障気が柚莉ちゃんの中で暴れ回って、想像を絶する痛みを与えておるんだろう。」



じいちゃんは哀しみを含んだ目で告げる。




「どうしたらいい…?」



あたしは拳を握り締めた。




「…毎日、障気を取り除くしかない…。


だが、一刻も早く、呪詛の根源を解かなければ……


柚莉ちゃんは、障気に呑まれて………死ぬ。」