「杏樹。」
静かにじいちゃんがあたしを呼ぶ。
振り返ると、じいちゃんは一息つき話し始める。
「…柚莉ちゃんは、呪詛をかけらておる。」
「………。」
無言で柚莉を見る。
感じてはいた。
この部屋に入った時から。
呪詛……
恨みに思う相手に災いが起きるよう神仏に祈願すること。
まじない。のろい。
「これは…相当に苦しいんじゃ。恐らく、障気が柚莉ちゃんの中で暴れ回って、想像を絶する痛みを与えておるんだろう。」
じいちゃんは哀しみを含んだ目で告げる。
「どうしたらいい…?」
あたしは拳を握り締めた。
「…毎日、障気を取り除くしかない…。
だが、一刻も早く、呪詛の根源を解かなければ……
柚莉ちゃんは、障気に呑まれて………死ぬ。」

