中に人影が見えた。
「杏樹来たのか」
「はい」
静かなじいちゃんの声。
足を踏み入れると
さらに強い障気がねっとりと体に巻き付く。
じいちゃんの側に立つと、
変わり果てた柚莉がいた。
白い肌は土色に染まり、髪は振り乱れ、体が細かい痙攣を繰り返している。
目の前のことを信じられずに足がすくんだ。
「ゆ…り…?」
一歩一歩近づき、柚莉がいるベッドの下に座り込む。
「…あん……じゅ……」
小さく口を開けて名前を呼んだ。
「ゆり…柚莉っ!!」
体を抱き上げて何度も名前を呼ぶ杏樹をじいちゃんは静かに見ていた。

