凄まじい妖気が、柚莉の体を取り巻く。
『さすがはお方様』
『造作もなく、埋め込まれた』
『人間など、我等にとっては酷く脆いもの』
周りから“声”が聞こえてくる。
『下ごしらえは終わった。
あとは…アイツの動きを見るとしよう』
腕を離した途端、崩れ落ちる柚莉の体。
浅い呼吸を繰り返し、喉を押さえる。
「ヒーッ…ヒーッ……」
肉体を駆け巡る毒が、意識を朦朧とさせていく。
「…っ……あん…っじゅ…助けっ……て……!」
喉を押さえたまま、柚莉は意識を失った――……
一番守って来てくれた
“親友”に助けを求めながら……

