地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪


凄まじい妖気が、柚莉の体を取り巻く。




『さすがはお方様』

『造作もなく、埋め込まれた』

『人間など、我等にとっては酷く脆いもの』




周りから“声”が聞こえてくる。



『下ごしらえは終わった。

あとは…アイツの動きを見るとしよう』




腕を離した途端、崩れ落ちる柚莉の体。



浅い呼吸を繰り返し、喉を押さえる。



「ヒーッ…ヒーッ……」



肉体を駆け巡る毒が、意識を朦朧とさせていく。




「…っ……あん…っじゅ…助けっ……て……!」







喉を押さえたまま、柚莉は意識を失った――……




一番守って来てくれた


“親友”に助けを求めながら……