――柚莉Side――




杏樹とのメールを終わらせて、ベッドに潜り込む。




時計を見ると、10時30分



早いけど、もう寝ようかな?




怪我は治ったけど、たちの悪い風邪を引いて、微熱がなかなか下がらない。



昼は平気なのに…夜になると体がキツくなる。





早く治して学校に行こう…




そう考えていた時だった。










音もなく、家の中に降り立つ影。


黒い服を身に纏いブラウン色の髪をかき上げる。




『フン…こんな結界しか張れねぇーのか…神崎家は』



口端を上げてニヤリとする。



足を進め、ある一つの部屋の前に立った。




『…苦しむ顔を見て、あいつはどうするのかな?』



楽しみだというように笑う。