地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪

この数週間ずっと陸のこと避けてたのに



なんで優しくしてくれるの?




腰にあった手は、また頭に戻ってきた。



後ろに流してある三つ編みのゴムを取り、髪を梳かれる。




指に髪を絡めながら、もう一度腰まで撫でていく。




ずっと黙ったまま

泣き続けるあたしの背中を優しくさする。






泣き止もうと思っても

陸の温かい腕の中では、涙が止まることはない。







「……杏」



名前を呼ばれ、少しだけ顔をあげた。



カチャ……


メガネを抜き取られた。




涙で視界はボヤケてる


けど…優しく微笑んでくれてるような気がした。





トクン…トクン…


心臓が甘く鳴りだす。