地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪

忘れていた痛みが、いきなり襲う。




拭い取った手の平に、消毒液をかけられた。




「っ…い…った…!」



最初よりも激しい痛みが左手に襲い掛かる。




ギュッと目を閉じた。


涙が溢れてくる。






「もう少しだから我慢しろ」



さっきよりも柔らかい声





テキパキと包帯を巻いてくれた。





「終わったぞ」


その言葉を聞いて、ゆっくりと目を開ける。




「…あり…が…と…う」


途切れ途切れにお礼を言った。





包帯で巻かれた左手をじっと見る。




これだけでもかなり痛いのに…柚莉は全身にこんなのを―…



「っ…!」



また涙が溢れてくる。



今のあたしの何倍も痛い思いさせちゃった…



護るって決めたのに!



全然守れてないっ―…




悔しくて涙が止まらない。


まだ痛む左手を握り締めた。


「っ…うぅ―…」



泣き声を押し殺して歯を食いしばる。