地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪

言い終わる前に、左手を掴まれた。



「えっ?」



掴まれた左手を見る。




「あれ…切れてる?」




あたしの左手は刃物で切ったような傷があり、血で紅く染まっていた。




「バカが…怪我しやがって」



陸があたしの左手を見ながら呟く。




…………。

全然気付かなかった…

痛みも感じなかったし…



あっ!

さっきガラスの破片握り締めたっけ?



「アドレナリン大量に出てたのかな…」




「は?…お前気づいてなかったのか?」




コクリと頷く。




「…バカじゃねぇの」


呆れたようにため息をついた。




「バカじゃないです。」


「バカだろ…こんなに怪我してんのに痛みすら感じてねぇなんて」




陸は脱脂綿であたしの血を拭い取る。



「痛っ…!」