寝ているが、杏の手はしっかり俺の体にまわっている。





離そうとすると、力を強め、胸に顔を埋める。





なんだこの可愛い生き物…。




さらさらの前髪を撫でる。





最初、杏を犬みたいだと思ったが…




見事にお預けを喰らった俺の方が犬だと思った。



「……散々焦らして…小悪魔か?」





静かな部屋に俺の呟く声が響いた。






…ったく杏樹姫の介抱は俺以外にはさせられねぇな?


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