「…本当に杏樹は無知というか 鈍感というか…」


「そうじゃのう…」


お父さんとおじいちゃんがお茶を飲みながら言う。


「杏樹は自分の容姿については無自覚だからな…」



「だって小学生からあんな地味な格好をしているんだもの
学校の誰一人、杏樹の本来の姿を見た人なんていないでしょう。」



洗い物を済ませたお母さんがソファーに座る。



「いっそ…変装をやめるかのう…最初は妖怪に杏樹の霊力が見つからんようにしていたものじゃ

今ではもう大丈夫じゃろう?」


おじいちゃんは二人に投げ掛ける。



「絶対ダメだっ!!
そんなことをしたら…杏樹はすぐに男どもの餌食になってしまう!!」


「それはあるわ…」



三人はため息をついた。



「まだこのままいきましょうか。」



お母さんの言葉に二人が頷く。



そして話は終わった。
もちろん、あたしはこんな会話がリビングでされていたなんて知らない…