秋が過ぎ冬になった。 雪が降っている。 あの路地も真っ白な雪に覆われていることだろう。 私はいつの頃からか、あの路地へは行かなくなっていた。 ろくのことを忘れたんじゃない。 何度行ってもろくに会えない寂しさは、私の中で結構なウエイトを占めていたんだろう。 降り積もる雪のように、しんしんと私の中に積もっていっていた。 だから、私はあの路地へ行けなくなっていた。