あれからろくの声は戻ることはなかった。 結局、ろくは私の前で一度も猫らしくにゃーんと鳴くことはなかったことになる。 声が出なくなったと同時に、ろくの仕草は猫らしくなっていった。 あれほど「子供じゃあるめえし!」と嫌っていたネコジャラシを模したおもちゃにも、素直に反応してお尻を振って飛びかかる準備をしているろくを見てると、なんだか悲しくなった。