ある日の夕方、夕刊を配り終えたアタシは散歩がてらノロノロと歩いていた。


空っぽになったエコバックをブンブン振り回していると、前方から見覚えのあるシルエットが近づいてくる。


優だ!


とっさに隠れようとしたものの、辺りの民家に飛び込むわけにも行かず、アタシはうつむいたまま優とすれ違おうとした。


「おい!」


5メートルくらい先から、呼ばれて顔を上げる。

当たり前だけど優がアタシを呼んでいた。


「あれ?偶然だね?」


アタシは、さも今気づいたかのような態度をとる。

ど、どうしよう…。


久しぶりの再開…。
といっても一週間ぶりくらいだけど、ずい分会っていないような気がして、懐かしさと緊張に襲われる。