臆病なサイモン









なぁ、悔しくないのかよ。

俺のドロドロしたとこは、いつだって真っ直ぐ貫いてったくせに。


なんで黙ってんの?

なぁ、ダンゴ。

一体、なに隠してんだよ。



(いま、どんな顔してる?)









「親死んじゃってカワイソーなヤツ、とか思ってたけど」



え。



「災難だよね。親ふたり揃って、コーツー事故、だっけ?」



  ず、




 ん




ひくひくと喉をひきつらせるように、ホンダファミリーは笑った。


身体に巣食う腫瘍のような塊に似た、そのひきつり笑い。

それが辺りに広がって、空気がひび割れる。


ロープレの、雑魚キャラとバトル繰り返しまくって、レベル上げしたキャラがラスボス戦で全ッ然、役に立たなくて、挙げ句死んじゃった、みたいな言い方で。

そんなユルイ感覚で、笑ってやがる。


その温度差に、正直、ビビった。

いやだ、気色悪い。

得体が知れない。



「…っ、」

心臓がジリ、と喚く。

あぁ、俺、今、ダンゴの中身、踏みにじってる。




「ひとりぼっちで可哀想な、このえちゃん」




ガコン…ッ。





「ぎゃあっ」