臆病なサイモン









(ダンゴのやつ、どんな顔してんだろ…)

さっきから男の声しかしないから、ちょい気になる。

ちょっと首伸ばしても、男子三人の背中しか見えねぇし。

人気のない屋上の扉前で、陰湿なことしてやがるバカチン共なんかどうでもいいってのに。


(…なんか、居心地ワルい)

俺は今、奴らと変わらないくらいアウトなことしてるかもしれない。


「盗み聞き」。

ダンゴも骨っ子ブラザーズも、俺の存在には気付いていないっぽいし。


(ここで聞いてたら…)

ダンゴがずっと隠していたことまで、聞いてしまうことになるかもしれない。

そうなったら、ダンゴにどんな顔して会えばいいっつーのか。

だからって、今すぐ立ち去ろうにも、このまま放っておくわけにもいかねーし。

それでも、ホンダファミリーは飽きずに続けやがる。



「…あんまり調子乗らないでよね。俺も俺の親もさ、正直、迷惑してんだから」

あぁ、イヤだなーこういうの、ほんと、ヤダ。

ネチネチしてる感じ。

納豆並み。

非健康的、っての?

なんか、盗み聞きしてる俺までイラーてきちゃうじゃーん。

…ダンゴはどうして言い返さないんだろう。