「田舎から俺んちに引越してきたんだ。こいつ、俺らとタメ。すっげウゼーの」
ちょお待ち。
誰、このジャイアン気質。
しかも「このえ」って、え、「段このえ」?
え、「ダンゴ」?
―――『他のクラスの男子と同居してんだって』
そこでピキーンと閃く。
まさか、ダンゴが同居してるっていう例の、男子?
え、てかあの噂、マジだったんだ。
「毎日毎日、バカみたいに同じ髪型でさぁ、ほんとキモイよ、コイツ」
つか、この胸くそわりぃセリフはなんなわけ?
俺、隠れながらひとりフツフツ怒りマックス。
そんな俺に盗み聞きされてるとも知らず、数人の男子はケヒケヒと下品に笑い合った。
なにが楽しいのか俺にはぜんっぜん理解できねーし!
「家でさぁ、耳障りな方言使いやがって、マジウケんの。チョーキモい」
いやいや、はーい、こいつリンチ決定。
この胸の中にもやもやと黒い雲が沸き上がってくるようなセリフはなに。
思わず首を伸ばして、影だけでも垣間見ようとサイモン、俺、頑張る。


