臆病なサイモン









まあそんな地味にスリリングなエブリデイにリズム取りながら、俺は今日もフリーダムに向かう。


ペッタペッタ。

この足音、やっぱサイコー。

フリーダムに向かう軽い足取り、ってね。


最上階、三年の教室が四つ入ってるとこの廊下。
それを突っ切って突き当たりの男子トイレ。

に、入る前に直角に左曲して階段を上がる。

踊り場に出て更に続く階段を上がればフリーダムへの扉が見えてくる―――。



その時。





「こ・の・え・チャーン」



ガタタタタッ。


屋上間近から届いたまさかの声に、俺は慌てて階段を駆け上がるのをやめた。

すぐそこの踊り場に出れば、屋上へ続くボロい扉があるというのに。

その扉の前で話でもしているのか、数人の声が低い天井に反響して、エコーがかって聞こえてきやがる。



…まさかセンセー?


(やっべ、もしかして屋上の点検とか?)

慌てて手摺の影に隠れて、リズムに乗ってた足音を潜めて耳を澄ます。


と。



「こいつ転入生じゃん。なんでオマエ、知ってんのよ」

センセーじゃない。

素行の悪そうな声。

やだね、なんかやな予感がするネ。