臆病なサイモン






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ペッタペッタペッタ。


三年間、ガチで履き続けてる壊れかけの便所スリッパが廊下を叩く。

壊れかけのレディオ…なんていい歌があるけどさ、さすがに便所スリッパじゃきまらねぇよな。


ペッタペッタ。

人気が疎らになった廊下を急ぐともゆったりともつかない歩調で着実に進む。

片手には潰してぺったんこになった学生鞄と、今日返された小テスト。

待ち遠しかった放課後を迎え、俺のフリーダム(屋上な)へ向かう。

あと、多分ダンゴも待ってる。

毎日毎日、放課後の行き先は同じだけど、一緒に行動すんのは人気がなくなる帰り道くらい。

誰かに見られたらタイヘーン!メンドーイ!てなるのは確実だし、他人に混ぜッかされんのはごめんだし。

だからって、教室でお互いを完全に無視し合うわけでもない。

適度に、適当に、うまく、教室内の「隣人」を装うワケ。

マァジで、いつかチェキしとけよ。

俺ら、役者になれるんじゃねえのってくらい、「素知らぬ真似」、激うま。