臆病なサイモン









ま、存在自体は「謎」に満ちてるよな、なんて。

だって俺、なにも知らねーもん。



実はちょっとだけ視力悪くて、たまに他人から睨まれてるって勘違いされちゃってることとか。

授業態度はチョー真面目だけど、実は上の空でセンセーの話とかそんな真面目に聞いてない、とか。

いつもキチッと着てる制服は、俺と屋上に居る時だけちょっとだらしなく弛む、とか。

実は帰り道の高架線下の河で水遊びしたくてウズウズしてる、とか。

なんかそんくらいのことしか知らない。

なんで引越してきたかとか、兄弟はいるのかな、とか、つまんないことなのに、なんか聞けない。




「…コンビニ、寄っていい?」

てか、聞かなくてもいいって、実は思ってたりする。

気になってはいるけど、聞き出そうとか、無理に知りたいとかは思わない。

だってソレって、チョー下世話じゃね?



「わたしパピコ」

…俺だったら、そんなことしてくるヤツとはダチンコやめたくなる。

つか、やめる。

そんな度胸ないけど。

心ん中でバイバイしちゃうし。